リトル・ブラザー

コリイ・ドクトロウ『リトル・ブラザー』(早川書房) 情報が一方的に政府によって管理され、抑圧された近未来のアメリカの姿を描いたポリティカルフィクション。小説のタイトルが占めるように、ジョージ・オーウェル『1984年』(ハヤカワ文庫epi)へのオマ…

リトル・ブラザー

コリイ・ドクトロウ『リトル・ブラザー』(早川書房) 情報が一方的に政府によって管理され、抑圧された近未来のアメリカの姿を描いたポリティカルフィクション。小説のタイトルが占めるように、ジョージ・オーウェル『1984年』(ハヤカワ文庫epi)へのオマ…

エンドレス・ガーデン

片理誠『エンドレス・ガーデン』(早川書房) 片理誠さん最新長編。当初その体裁を見て時間がまとまったときに読もうと考えていたのだが、面白くて一気に読み終えた。物語は『ガリバー旅行記』をベースに、何となくテイストが飛浩隆の<グラン・ヴァカンス>…

エンドレス・ガーデン

片理誠『エンドレス・ガーデン』(早川書房) 片理誠さん最新長編。当初その体裁を見て時間がまとまったときに読もうと考えていたのだが、面白くて一気に読み終えた。物語は『ガリバー旅行記』をベースに、何となくテイストが飛浩隆の<グラン・ヴァカンス>…

化身

宮ノ川顕『化身』(角川ホラー文庫) 第16回日本ホラー小説大賞受賞作。3短編が収録された短編集。全体的に印象が薄い印象を持ったのだが、読み終えたら後で考えると怖いなぁと思う短編集だった。表題作よりも「雷魚」の方がジワリとくる怖さがあり、こちら…

化身

宮ノ川顕『化身』(角川ホラー文庫) 第16回日本ホラー小説大賞受賞作。3短編が収録された短編集。全体的に印象が薄い印象を持ったのだが、読み終えたら後で考えると怖いなぁと思う短編集だった。表題作よりも「雷魚」の方がジワリとくる怖さがあり、こちら…

クラッシュ

J・G・バラード『クラッシュ』(創元SF文庫) テクノロジーに囲まれた我々は、エロスと快楽という結びつきを自動車事故に見出してしまうかもしれない。インターネット上で見られる顔を粉砕された男性、大破した自動車で大やけどを負い、以前とはまったく違っ…

クラッシュ

J・G・バラード『クラッシュ』(創元SF文庫) テクノロジーに囲まれた我々は、エロスと快楽という結びつきを自動車事故に見出してしまうかもしれない。インターネット上で見られる顔を粉砕された男性、大破した自動車で大やけどを負い、以前とはまったく違っ…

残虐行為展覧会

J・G・バラード『残虐行為展覧会』(工作舎) 社会における人類の残虐行為とエロス、テクノロジーを俯瞰し、その中からエッセンスを抽出し、人間社会の究極の法則を帰納的に導出しようという試みの書。J・F・K暗殺、ベトナム戦争、有名人の自動車事故、傷へ…

残虐行為展覧会

J・G・バラード『残虐行為展覧会』(工作舎) 社会における人類の残虐行為とエロス、テクノロジーを俯瞰し、その中からエッセンスを抽出し、人間社会の究極の法則を帰納的に導出しようという試みの書。J・F・K暗殺、ベトナム戦争、有名人の自動車事故、傷へ…

天になき星々の群れ

長谷敏司『天になき星々の群れ』(角川スニーカー文庫) 『戦略拠点32098 楽園』(角川スニーカー文庫)が面白かったので、デビューしてからの2作目を読んでみた。『楽園』は、「平和」のメッセージ性の強かった小説だったのが、本書はあえて異なる二人のタ…

天になき星々の群れ

長谷敏司『天になき星々の群れ』(角川スニーカー文庫) 『戦略拠点32098 楽園』(角川スニーカー文庫)が面白かったので、デビューしてからの2作目を読んでみた。『楽園』は、「平和」のメッセージ性の強かった小説だったのが、本書はあえて異なる二人のタ…

光を忘れた星で

八杉将司『光を忘れた星で』(講談社) 八杉さんの最新長編。まさか講談社Boxから出るとは思ってもおらず、びっくりしたのでした。本格的なハードSFで、当初はジョゼ・サラマーゴ『白の闇』(NHK出版)みたいな話かと思ったら、進化生物学的に社会構造を書い…

光を忘れた星で

八杉将司『光を忘れた星で』(講談社) 八杉さんの最新長編。まさか講談社Boxから出るとは思ってもおらず、びっくりしたのでした。本格的なハードSFで、当初はジョゼ・サラマーゴ『白の闇』(NHK出版)みたいな話かと思ったら、進化生物学的に社会構造を書い…

セドナ、鎮まりてあれかし

泉和良『セドナ、鎮まりてあれかし』(ハヤカワ文庫JA) 泉和良の最新作。傑作。久々に良いSFを読んだ、という満たされた気分になった。僕らの住む現実世界との対応という点でも、そのエッセンスを物語要素として詰め込み、戦死した人たちの存在意義を確認す…

セドナ、鎮まりてあれかし

泉和良『セドナ、鎮まりてあれかし』(ハヤカワ文庫JA) 泉和良の最新作。傑作。久々に良いSFを読んだ、という満たされた気分になった。僕らの住む現実世界との対応という点でも、そのエッセンスを物語要素として詰め込み、戦死した人たちの存在意義を確認す…

エレGY

泉和良『エレGY』(星海社文庫)最初、講談社から出版され、のちに星海社文庫から出たのでこちらに変更。早川書房より、『セドナ、鎮まりてあれかし』が出た当初、泉氏のSFMのインタビュー記事が掲載され、それを読んで著者に興味を持ったのでデビュー作を読…

エレGY

泉和良『エレGY』(星海社文庫) 最初、講談社から出版され、のちに星海社文庫から出たのでこちらに変更。早川書房より、『セドナ、鎮まりてあれかし』が出た当初、泉氏のSFMのインタビュー記事が掲載され、それを読んで著者に興味を持ったのでデビュー作を…

殺す

J・G・バラード『殺す』(東京創元社) 閑静なイギリスの高級住宅街で突如起きた無差別殺人。32人の大人が殺され、13人の子供が行方不明になるというショッキングな題材を取り扱ったバラード後期の中編。当時出たときに購入していて、しばらく本の行方が…

殺す

J・G・バラード『殺す』(東京創元社) 閑静なイギリスの高級住宅街で突如起きた無差別殺人。32人の大人が殺され、13人の子供が行方不明になるというショッキングな題材を取り扱ったバラード後期の中編。当時出たときに購入していて、しばらく本の行方が…

異次元創世記 赤竜の書

妹尾ゆふ子『異次元創世記 赤竜の書』(角川スニーカー文庫) 私たちの周りには、さまざまなモノが存在し、言葉によって名づけられている。例えば、ル=グィンのゲド戦記では、真の名前を知られてしまうと、真の名を知るものによって従属させられてしまう。…

異次元創世記 赤竜の書

妹尾ゆふ子『異次元創世記 赤竜の書』(角川スニーカー文庫) 私たちの周りには、さまざまなモノが存在し、言葉によって名づけられている。例えば、ル=グィンのゲド戦記では、真の名前を知られてしまうと、真の名を知るものによって従属させられてしまう。…

月ジェット作戦

小隅黎『月ジェット作戦』(金の星社)購入するまで「つきじぇっとさくせん」だと思っていたら、「むーんじぇっとさくせん」だったということを知り、大衝撃を受ける。とある古書店より、プレミア価格で購入。プレミアの額は言いたくないが、収入が増えて大…

月ジェット作戦

小隅黎『月ジェット作戦』(金の星社) 購入するまで「つきじぇっとさくせん」だと思っていたら、「むーんじぇっとさくせん」だったということを知り、大衝撃を受ける。とある古書店より、プレミア価格で購入。プレミアの額は言いたくないが、収入が増えて大…

不動カリンは一切動ぜず

森田季節『不動カリンは一切動ぜず』(ハヤカワ文庫JA) SF設定(感染すると遺伝子が改変されてしまうHRVが蔓延している世界)とオカルト(神との対話)が融合した百合小説。小説設定における各種のSF的設定が内世界および社会システムにうまく融合しており…

不動カリンは一切動ぜず

森田季節『不動カリンは一切動ぜず』(ハヤカワ文庫JA) SF設定(感染すると遺伝子が改変されてしまうHRVが蔓延している世界)とオカルト(神との対話)が融合した百合小説。小説設定における各種のSF的設定が内世界および社会システムにうまく融合しており…

ロマンシングサガ ミンストレルソング 皇帝の華

妹尾ゆふ子『ロマンシングサガ ミンストレルソング 皇帝の華』(スクウェア・エニックス) うさぎ屋さんのロマンシングサガストーリーのノベライズ本。今回本の整理で出てきたので一気に読了した。大変面白かった。ノベライズという形態なので敬遠する人も多…

ロマンシングサガ ミンストレルソング 皇帝の華

妹尾ゆふ子『ロマンシングサガ ミンストレルソング 皇帝の華』(スクウェア・エニックス) うさぎ屋さんのロマンシングサガストーリーのノベライズ本。今回本の整理で出てきたので一気に読了した。大変面白かった。ノベライズという形態なので敬遠する人も多…

忠誠の誓い

ラリイ・ニーヴン &ジェリイ・パーネル『忠誠の誓い』(ハヤカワ文庫SF) もしアーコロジーの住人だったら、外部の不測の事態にどう対処するのが自然なのだろうか? 近未来のロサンゼルスの街中に建設されたテクノロジーの集大成のインテリジェントビルディ…

忠誠の誓い

ラリイ・ニーヴン &ジェリイ・パーネル『忠誠の誓い』(ハヤカワ文庫SF) もしアーコロジーの住人だったら、外部の不測の事態にどう対処するのが自然なのだろうか? 近未来のロサンゼルスの街中に建設されたテクノロジーの集大成のインテリジェントビルディ…