2008-01-01から1年間の記事一覧

レイコちゃんと蒲鉾工場

北野勇作『レイコちゃんと蒲鉾工場』(光文社文庫) 『昔、火星があった場所』(徳間デュアル文庫)以来一貫して追求されているテーマ「自分とにせものの境界」を描いた北野勇作ワールドの一本。北野勇作は過去発表している作品の大半が、P・K・ディック的な…

レイコちゃんと蒲鉾工場

北野勇作『レイコちゃんと蒲鉾工場』(光文社文庫) 『昔、火星があった場所』(徳間デュアル文庫)以来一貫して追求されているテーマ「自分とにせものの境界」を描いた北野勇作ワールドの一本。北野勇作は過去発表している作品の大半が、P・K・ディック的な…

古川

吉永達彦『古川』(角川ホラー文庫) 夏の眠れない夜は会談やホラーがいい。ついにそんな季節になってきた。第八回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。表題作と「冥い沼」の二短編を収録。評価は人によりまちまちの模様。作品自体は、恒川光太郎、古き良き時代…

古川

吉永達彦『古川』(角川ホラー文庫) 夏の眠れない夜は会談やホラーがいい。ついにそんな季節になってきた。第八回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。表題作と「冥い沼」の二短編を収録。評価は人によりまちまちの模様。作品自体は、恒川光太郎、古き良き時代…

ハローサマー、グッドバイ

マイクル・コーニイ『ハローサマー、グッドバイ』(河出文庫)山岸真氏による28年ぶりの新訳。サンリオSF文庫版が絶版になり、大変入手困難な一冊であった。本書も青春恋愛海洋SFの傑作だったのにも関わらず、長い間日の目を見ず、28年間が経過。サンリ…

ハローサマー、グッドバイ

マイクル・コーニイ『ハローサマー、グッドバイ』(河出文庫) 山岸真氏による28年ぶりの新訳。サンリオSF文庫版が絶版になり、大変入手困難な一冊であった。本書も青春恋愛海洋SFの傑作だったのにも関わらず、長い間日の目を見ず、28年間が経過。サンリ…

治療者の戦争

エリザベス・アン・スカボロー『治療者の戦争』(ハヤカワ文庫SF) この本を取り上げたのは、当時の僕がまだこの本を読む準備ができておらず、ようやく最近になって読めるようになった、ということがある。偶然僕の指導教官が南ベトナムから命からがら留学…

治療者の戦争

エリザベス・アン・スカボロー『治療者の戦争』(ハヤカワ文庫SF) この本を取り上げたのは、当時の僕がまだこの本を読む準備ができておらず、ようやく最近になって読めるようになった、ということがある。偶然僕の指導教官が南ベトナムから命からがら留学…

スロー・リバー

ニコラ・グリフィス『スロー・リバー』(ハヤカワ文庫SF) ネビュラ賞を受賞したということで、何となく読み始めた本。物語はスローペースで、ややかったるいのだがラスト付近であっと驚く方向に収束するので、気が抜けない本ではあった。そういった意味で…

スロー・リバー

ニコラ・グリフィス『スロー・リバー』(ハヤカワ文庫SF) ネビュラ賞を受賞したということで、何となく読み始めた本。物語はスローペースで、ややかったるいのだがラスト付近であっと驚く方向に収束するので、気が抜けない本ではあった。そういった意味で…

セックス・スフィア

ルーディ・ラッカー『セックス・スフィア』(ハヤカワ文庫SF)翻訳が出たのは1992年。ラッカーは『ホワイト・ライト』、『時空ドーナッツ』、『空洞地球』、『ソフトウェア』(すべてハヤカワ文庫SF)と読んできて、ハズレがないのでこのまま読み続…

セックス・スフィア

ルーディ・ラッカー『セックス・スフィア』(ハヤカワ文庫SF) 翻訳が出たのは1992年。ラッカーは『ホワイト・ライト』、『時空ドーナッツ』、『空洞地球』、『ソフトウェア』(すべてハヤカワ文庫SF)と読んできて、ハズレがないのでこのまま読み続…

AD2015隔離都市ロンリネス・ガーディアン

桜庭一樹『AD2015隔離都市ロンリネス・ガーディアン』(ファミ通文庫) いまやラノベ作家から天上りして直木賞受賞作家に転じた桜庭一樹のデビュー作。ブックオフで地道に探せば出てくる可能性もあるのだが、これがなかなかみつからない。地方都市のブ…

AD2015隔離都市ロンリネス・ガーディアン

桜庭一樹『AD2015隔離都市ロンリネス・ガーディアン』(ファミ通文庫) いまやラノベ作家から天上りして直木賞受賞作家に転じた桜庭一樹のデビュー作。ブックオフで地道に探せば出てくる可能性もあるのだが、これがなかなかみつからない。地方都市のブ…

アンナ・カヴァン『氷』(バジリコ) 藤原編集室さんのおかげで、23年ぶりに全面改訳版が実現。本当、ありがたいことです。内容面ではサンリオSF文庫版からは大きな異同はないものの、訳文がかなり手直しされていて、やや印象は変わっていた。B・オールデ…

アンナ・カヴァン『氷』(バジリコ) 藤原編集室さんのおかげで、23年ぶりに全面改訳版が実現。本当、ありがたいことです。内容面ではサンリオSF文庫版からは大きな異同はないものの、訳文がかなり手直しされていて、やや印象は変わっていた。B・オールデ…

フリアとシナリオライター

マリオ・バルガス=リョサ『フリアとシナリオライター』(国書刊行会) 国書刊行会の文学の冒険シリーズで出ていた本で、分厚さにめげてしばらく放置していたものの、読み始めたら面白くなり、飛行機の中で読了。リョサの実生活がベースになったコメディ小説…

フリアとシナリオライター

マリオ・バルガス=リョサ『フリアとシナリオライター』(国書刊行会) 国書刊行会の文学の冒険シリーズで出ていた本で、分厚さにめげてしばらく放置していたものの、読み始めたら面白くなり、飛行機の中で読了。リョサの実生活がベースになったコメディ小説…

終わりの街の終わり

ケヴィン・ブロックマイヤー『終わりの街の終わり』(ランダムハウス講談社) ネビュラ賞ノミネートということで、たまには今月の新刊を読まないとばちがあたりそうだったので、早々に読了。読了感は村上春樹+是枝裕和+キース・ロバーツ+ジョージ・ソウン…

終わりの街の終わり

ケヴィン・ブロックマイヤー『終わりの街の終わり』(ランダムハウス講談社) ネビュラ賞ノミネートということで、たまには今月の新刊を読まないとばちがあたりそうだったので、早々に読了。読了感は村上春樹+是枝裕和+キース・ロバーツ+ジョージ・ソウン…

ブラックジュース

マーゴ・ラナガン『ブラックジュース』(河出書房新社) 2005年度世界幻想文学大賞(短編集部門)受賞作。オーストラリアのジュディ・バドニッツというよりも、オーストラリア産ケリー・リンク+佐藤哲也、あるいはアーサー・ブラットフォードみたいな作風の…

ブラックジュース

マーゴ・ラナガン『ブラックジュース』(河出書房新社) 2005年度世界幻想文学大賞(短編集部門)受賞作。オーストラリアのジュディ・バドニッツというよりも、オーストラリア産ケリー・リンク+佐藤哲也、あるいはアーサー・ブラットフォードみたいな作風の…

ブルー・ワールド

ロバート・R・マキャモン『ブルー・ワールド』(文春文庫) 読んでいて久々に鳥肌が立ったよ!そんなレベルの作品が収録されたマキャモンのベストともいえる傑作短編集。この本が品切れなことが実に残念なわけだが、薦めてくれたXさんらに感謝。何らかの形…

ブルー・ワールド

ロバート・R・マキャモン『ブルー・ワールド』(文春文庫) 読んでいて久々に鳥肌が立ったよ!そんなレベルの作品が収録されたマキャモンのベストともいえる傑作短編集。この本が品切れなことが実に残念なわけだが、薦めてくれたXさんらに感謝。何らかの形…

青い鷹

ピーター=ディキンソン『青い鷹』(偕成社)ミステリ、SF界ではレア本『生ける屍』(サンリオSF文庫)の作者として有名。ミステリの人は<ピブル警視シリーズ>の作者で、SF者は『緑色遺伝子』『キングとジョーカー』というイメージがあるのではない…

青い鷹

ピーター=ディキンソン『青い鷹』(偕成社) ミステリ、SF界ではレア本『生ける屍』(サンリオSF文庫)の作者として有名。ミステリの人は<ピブル警視シリーズ>の作者で、SF者は『緑色遺伝子』『キングとジョーカー』というイメージがあるのではない…

エア

ジェフ・ライマン『エア』(早川書房) プラチナファンタジー。中央アジアの架空の国を舞台にした村社会SF。物語自体は普通に飽きさせないのだが、現代社会を舞台にしているせいか、大きな動きもなく淡々として終わる。というのは、焦点が新技術の導入によ…

エア

ジェフ・ライマン『エア』(早川書房) プラチナファンタジー。中央アジアの架空の国を舞台にした村社会SF。物語自体は普通に飽きさせないのだが、現代社会を舞台にしているせいか、大きな動きもなく淡々として終わる。というのは、焦点が新技術の導入によ…

エデン

スタニスワフ・レム『エデン』(ハヤカワ文庫SF)最近紀伊国屋のレム祭りにより復刊した模様。『ソラリス』(国書刊行会)、『砂漠の惑星』(ハヤカワ文庫SF)とともに<ファーストコンタクトもの>の三部作を構成しているというSFで、紋切型だったフ…

エデン

スタニスワフ・レム『エデン』(ハヤカワ文庫SF) 最近紀伊国屋のレム祭りにより復刊した模様。『ソラリス』(国書刊行会)、『砂漠の惑星』(ハヤカワ文庫SF)とともに<ファーストコンタクトもの>の三部作を構成しているというSFで、紋切型だったフ…