2009-01-01から1年間の記事一覧

一箱古本市の歩き方

南陀楼綾繁『一箱古本市の歩き方』(光文社新書) 千駄木・谷中の一箱古本市に参加したことがある。その提唱者、開始メンバーの一人である南陀楼綾繁氏が一箱古本市というイベントを始めた経緯について語り、今後の展開について思うところを記した本。本が好…

一箱古本市の歩き方

南陀楼綾繁『一箱古本市の歩き方』(光文社新書) 千駄木・谷中の一箱古本市に参加したことがある。その提唱者、開始メンバーの一人である南陀楼綾繁氏が一箱古本市というイベントを始めた経緯について語り、今後の展開について思うところを記した本。本が好…

幻影の構成

眉村卓『幻影の構成』(ハルキ文庫) 『幻影の構成』にはハヤカワ文庫JA版、角川文庫版などいくつかのバージョンがあるが、最後に出たハルキ文庫版を読む。発表された当初の時代背景や問題認識とは異なり、現代のコンテクストで読み直せるSFである。本小説…

幻影の構成

眉村卓『幻影の構成』(ハルキ文庫) 『幻影の構成』にはハヤカワ文庫JA版、角川文庫版などいくつかのバージョンがあるが、最後に出たハルキ文庫版を読む。発表された当初の時代背景や問題認識とは異なり、現代のコンテクストで読み直せるSFである。本小説…

わがセクソイド

眉村卓『わがセクソイド』(角川文庫) 草食系男子と肉食系女子の出現を予言した社会派SF。現在のコンテクストで読みなおすと、「うだつの上がらない童貞草食系男子が、理想のアンドロイド彼女と駆け落ちする話」という展開のSFだった。社会変化による女…

わがセクソイド

眉村卓『わがセクソイド』(角川文庫) 草食系男子と肉食系女子の出現を予言した社会派SF。現在のコンテクストで読みなおすと、「うだつの上がらない童貞草食系男子が、理想のアンドロイド彼女と駆け落ちする話」という展開のSFだった。社会変化による女…

エラントリス

ブランドン・サンダースン『エラントリス 鎖された都の物語』(ハヤカワ文庫FT) 翻訳で上下1000ページにわたる長編なのだけど、久々に夢中になって読む。リーダビリティの高さと面白さ。ファンタジーの体裁をとりつつも、政治・経済・文化がしっかり…

エラントリス

ブランドン・サンダースン『エラントリス 鎖された都の物語』(ハヤカワ文庫FT) 翻訳で上下1000ページにわたる長編なのだけど、久々に夢中になって読む。リーダビリティの高さと面白さ。ファンタジーの体裁をとりつつも、政治・経済・文化がしっかり…

ライヴ・ガールズ

レイ・ガートン『ライヴ・ガールズ』(文春文庫) 先日本を整理していて、出てきた。帯つきをようやく入手し(なのでダブっている)、久々にホラーを読むかと思って読んだ。やっぱりスプラッターパンクは帯つきで集めておきたいところだ(多分ついていない本…

ライヴ・ガールズ

レイ・ガートン『ライヴ・ガールズ』(文春文庫) 先日本を整理していて、出てきた。帯つきをようやく入手し(なのでダブっている)、久々にホラーを読むかと思って読んだ。やっぱりスプラッターパンクは帯つきで集めておきたいところだ(多分ついていない本…

郵便屋

芹澤準『郵便屋』(角川ホラー文庫) いまさらながら、第一回日本ホラー小説大賞佳作を読む。携帯メールの時代になると、流石に本書は陳腐化をまぬがれない。ある程度この賞の作品はフォローしていたけど、佳作については放置していたことが多い。ともあれ、…

郵便屋

芹澤準『郵便屋』(角川ホラー文庫) いまさらながら、第一回日本ホラー小説大賞佳作を読む。携帯メールの時代になると、流石に本書は陳腐化をまぬがれない。ある程度この賞の作品はフォローしていたけど、佳作については放置していたことが多い。ともあれ、…

陋巷に在り 儒の巻

酒見賢一『陋巷に在り 儒の巻』(新潮文庫) 古代中国の孔子の弟子顔回を主人公とした小説。「古代中国において実はサイキックな呪術(儒)が、現実世界にも深くかかわっていた」という考察のもとに、孔子を取り巻く政治・社会を大胆な切り口で再構築すると…

陋巷に在り 儒の巻

酒見賢一『陋巷に在り 儒の巻』(新潮文庫) 古代中国の孔子の弟子顔回を主人公とした小説。「古代中国において実はサイキックな呪術(儒)が、現実世界にも深くかかわっていた」という考察のもとに、孔子を取り巻く政治・社会を大胆な切り口で再構築すると…

バレエ・メカニック

津原泰水『バレエ・メカニック』(ハヤカワ文庫JA) 2009年の日本人作家SFベスト決定。すぐれた小説を読んでいると、時を忘れることが多いけど、この小説は読み終えるのがもったないぐらいだった。幻想文学好きなら必読でしょう。あっという間に読み終わる…

バレエ・メカニック

津原泰水『バレエ・メカニック』(ハヤカワ文庫JA) 2009年の日本人作家SFベスト決定。すぐれた小説を読んでいると、時を忘れることが多いけど、この小説は読み終えるのがもったないぐらいだった。幻想文学好きなら必読でしょう。あっという間に読み終わる…

不定期エスパー1

眉村卓『不定期エスパー1 <護衛員イシター・ロウ>』(徳間文庫)全八巻からなる壮大なSF巨篇。先日ようやく本の墓場から発掘して読み始めたら面白い面白い。僕は眉村卓という作家は経済学における新制度学派(ノーベル経済学賞を受賞しているロナルド・…

不定期エスパー1

眉村卓『不定期エスパー1 <護衛員イシター・ロウ>』(徳間文庫) 全八巻からなる壮大なSF巨篇。先日ようやく本の墓場から発掘して読み始めたら面白い面白い。僕は眉村卓という作家は経済学における新制度学派(ノーベル経済学賞を受賞しているロナルド…

夜は一緒に散歩しよ

黒史郎『夜は一緒に散歩しよ』(メディアファクトリー文庫) 第一回『幽』怪談文学賞受賞作で、黒史郎氏のデビュー作。過去彼の作品は一迅社J文庫の2冊を読んだけど、ラノベなのに容赦ない殺戮やクトゥルーネタでビビらされた記憶が新しい。本書はなんとも…

夜は一緒に散歩しよ

黒史郎『夜は一緒に散歩しよ』(メディアファクトリー文庫) 第一回『幽』怪談文学賞受賞作で、黒史郎氏のデビュー作。過去彼の作品は一迅社J文庫の2冊を読んだけど、ラノベなのに容赦ない殺戮やクトゥルーネタでビビらされた記憶が新しい。本書はなんとも…

法王計画

クリフォード・D・シマック『法王計画』(ハヤカワ文庫SF) シマックは比較的読んでいる作家だったのだが(とはいえ『都市』を読んでいない。できればSFM(200号持っているかわからない…)に載っている「終章」とともに読みたいため)、この長編は…

法王計画

クリフォード・D・シマック『法王計画』(ハヤカワ文庫SF) シマックは比較的読んでいる作家だったのだが(とはいえ『都市』を読んでいない。できればSFM(200号持っているかわからない…)に載っている「終章」とともに読みたいため)、この長編は…

ミルクから逃げろ!

マーティン・ミラー『ミルクから逃げろ!』(青山出版社) 日本語翻訳があまり出ていないマーティン・ミラーの処女作。パルプノワールが好きな人にお勧めできるおバカ小説。テイスト的には戸梶圭太、ジョー・ランズデールな感じなのだが、基本的にはチープ。…

ミルクから逃げろ!

マーティン・ミラー『ミルクから逃げろ!』(青山出版社) 日本語翻訳があまり出ていないマーティン・ミラーの処女作。パルプノワールが好きな人にお勧めできるおバカ小説。テイスト的には戸梶圭太、ジョー・ランズデールな感じなのだが、基本的にはチープ。…

天の筏

スティーヴン・バクスター『天の筏』(ハヤカワ文庫SF) バクスター長編は初。1993年に購入した本で、あんまりSFに興味がなかったころに何となく買っていた本だったのでそのまま16年が経過(!)。いやぁ、年を取ってしまったわけですわ。というのは…

天の筏

スティーヴン・バクスター『天の筏』(ハヤカワ文庫SF) バクスター長編は初。1993年に購入した本で、あんまりSFに興味がなかったころに何となく買っていた本だったのでそのまま16年が経過(!)。いやぁ、年を取ってしまったわけですわ。というのは…

所有せざる人々

アーシュラ・K・ル・グィン『所有せざる人々』(ハヤカワ文庫SF) 早川の強い物語。の100冊に選定され、トールサイズ&新しいカバーとなったのをきっかけに読んでみる。ル・グィンは<ハイニッシュ・ユニバース>ものというシリーズを書いているのだが、…

所有せざる人々

アーシュラ・K・ル・グィン『所有せざる人々』(ハヤカワ文庫SF) 早川の強い物語。の100冊に選定され、トールサイズ&新しいカバーとなったのをきっかけに読んでみる。ル・グィンは<ハイニッシュ・ユニバース>ものというシリーズを書いているのだが、…

夢の10セント銀貨

ジャック・フィニイ『夢の10セント銀貨』(ハヤカワ文庫FT) 男の身勝手な欲望をファンタジーにした小説。現代社会の文脈に即して読むと、この展開はあまりにもひどすぎる。読み終えて状況を考えると非常に恐ろしい。ストーカー小説の先駆をなす並行世界フ…

夢の10セント銀貨

ジャック・フィニイ『夢の10セント銀貨』(ハヤカワ文庫FT) 男の身勝手な欲望をファンタジーにした小説。現代社会の文脈に即して読むと、この展開はあまりにもひどすぎる。読み終えて状況を考えると非常に恐ろしい。ストーカー小説の先駆をなす並行世界フ…