2009-01-01から1年間の記事一覧

遥かなる光

エリザベス・A・リン『遥かなる光』(ハヤカワ文庫SF) <アラン史略>シリーズで有名なリンの処女長編SF。ジェンダーを意識しながらも、内容は娯楽色の強いスペオペ風味に仕上がっている。そういう意味では、ディレイニー『ノヴァ』(ハヤカワ文庫SF…

遥かなる光

エリザベス・A・リン『遥かなる光』(ハヤカワ文庫SF) <アラン史略>シリーズで有名なリンの処女長編SF。ジェンダーを意識しながらも、内容は娯楽色の強いスペオペ風味に仕上がっている。そういう意味では、ディレイニー『ノヴァ』(ハヤカワ文庫SF…

文学刑事サーズデイ・ネクスト1 ジェイン・エアを探せ!

ジャスパー・フォード『文学刑事サーズデイ・ネクスト1 ジェイン・エアを探せ!』(ソニーマガジンズ) 本の整理で出てきたので、読んでみた。…うはっ、これは傑作でした。J・P・ブレイロック的なテイストで、物語自体はかなり混沌とした様相の「改変世界…

文学刑事サーズデイ・ネクスト1 ジェイン・エアを探せ!

ジャスパー・フォード『文学刑事サーズデイ・ネクスト1 ジェイン・エアを探せ!』(ソニーマガジンズ) 本の整理で出てきたので、読んでみた。…うはっ、これは傑作でした。J・P・ブレイロック的なテイストで、物語自体はかなり混沌とした様相の「改変世界…

異世界の帝王

H・ビーム・パイパー『異世界の帝王』(ハヤカワ文庫SF) ファンタジー風の表紙絵で損した作品。確かに内容はこんな話なんですけどね…。ポール・クルーグマンがストロスの作品(マーチャントシリーズ)を紹介するにあたって、引用していた古典なので読む…

異世界の帝王

H・ビーム・パイパー『異世界の帝王』(ハヤカワ文庫SF) ファンタジー風の表紙絵で損した作品。確かに内容はこんな話なんですけどね…。ポール・クルーグマンがストロスの作品(マーチャントシリーズ)を紹介するにあたって、引用していた古典なので読む…

ノパルガース

ジャック・ヴァンス『ノパルガース』(ハヤカワ文庫SF) 久々の伊藤典夫訳によるヴァンスの翻訳作品。発表されたのが50年前以上の作品のため、物語中で描写されているテクノロジーは陳腐化している部分はあれど、本書のアイディアは面白い。ノパルにアー…

ノパルガース

ジャック・ヴァンス『ノパルガース』(ハヤカワ文庫SF) 久々の伊藤典夫訳によるヴァンスの翻訳作品。発表されたのが50年前以上の作品のため、物語中で描写されているテクノロジーは陳腐化している部分はあれど、本書のアイディアは面白い。ノパルにアー…

人のセックスを笑うな

山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』(河出文庫) 年下と年上女子との生々しい恋愛を描いたもの。本書を読むと、僕らは社会の「習慣」という枠組みにとらわれてしまっていて、それを打ち破るのはなかなか難しいことを再認識する。村上春樹『ノルウェーの…

人のセックスを笑うな

山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』(河出文庫) 年下と年上女子との生々しい恋愛を描いたもの。本書を読むと、僕らは社会の「習慣」という枠組みにとらわれてしまっていて、それを打ち破るのはなかなか難しいことを再認識する。村上春樹『ノルウェーの…

ベル・カント

アン・パチェット『ベル・カント』(早川書房) 1996年に起きたMRTAによるペルー日本大使館をベースにしたフィクション。ベルナルド・ベルトルッチ監督による映画化の予定もあるらしい。この本の存在を知ったのは、留学中のカナダ時代に友人のカナダ…

ベル・カント

アン・パチェット『ベル・カント』(早川書房) 1996年に起きたMRTAによるペルー日本大使館をベースにしたフィクション。ベルナルド・ベルトルッチ監督による映画化の予定もあるらしい。この本の存在を知ったのは、留学中のカナダ時代に友人のカナダ…

第七官界彷徨

尾崎翠『第七官界彷徨』(河出文庫) 帯に書かれた「私はひとつ、人間の第七官にひびくような詩を書いてやりましょう。」文句とそのタイトルに惹かれて購入した。この作家の作品は初。文章の雰囲気がよかったので一気に読了したのが7月下旬ぐらい。脳内で感…

第七官界彷徨

尾崎翠『第七官界彷徨』(河出文庫) 帯に書かれた「私はひとつ、人間の第七官にひびくような詩を書いてやりましょう。」文句とそのタイトルに惹かれて購入した。この作家の作品は初。文章の雰囲気がよかったので一気に読了したのが7月下旬ぐらい。脳内で感…

迷宮1000

ヤン・ヴァイス『迷宮1000』(創元推理文庫) 創元の怪奇と幻想(旧帆船マーク)で出ていた本。内容はどちらかといえば、近未来の悪夢SFに分類されるグロテスクな物語。内容が内容なだけに、決して古びていない。ナチスドイツの台頭の前(1929年に…

迷宮1000

ヤン・ヴァイス『迷宮1000』(創元推理文庫) 創元の怪奇と幻想(旧帆船マーク)で出ていた本。内容はどちらかといえば、近未来の悪夢SFに分類されるグロテスクな物語。内容が内容なだけに、決して古びていない。ナチスドイツの台頭の前(1929年に…

双生児

クリストファー・プリースト『双生児』(早川書房) プラチナ・ファンタジーの一冊。プリーストは『奇術師』(ハヤカワ文庫FT)以来だったわけだけど、知的好奇心を満たしつつ、読書力が必要な小説だと感じた。そういう意味では、マジック・リアリズムの小…

双生児

クリストファー・プリースト『双生児』(早川書房) プラチナ・ファンタジーの一冊。プリーストは『奇術師』(ハヤカワ文庫FT)以来だったわけだけど、知的好奇心を満たしつつ、読書力が必要な小説だと感じた。そういう意味では、マジック・リアリズムの小…

東京ボイス

ヒキタクニオ『東京ボイス』(講談社文庫) 右翼の青年の姿を描いたデビュー作「凶気の桜」の人、ということは知っていたのだが、作品を読むのははじめて。過去にCDを出したボイストレーナーのゲイの吉本を主人公にした連作短編集で、ボイストレーナーを受…

東京ボイス

ヒキタクニオ『東京ボイス』(講談社文庫) 右翼の青年の姿を描いたデビュー作「凶気の桜」の人、ということは知っていたのだが、作品を読むのははじめて。過去にCDを出したボイストレーナーのゲイの吉本を主人公にした連作短編集で、ボイストレーナーを受…

黒水村と交錯都市

黒史郎『黒水村』『交錯都市』(一迅社J文庫) 初黒史郎体験。評判の高いデビュー作はまだ読んでいないのだが、何となく本屋で購入して読んだら表紙絵からは想像できないホラー小説だった。『黒水村』→『交錯都市』という時系列で連続しているため、登場人物…

黒水村と交錯都市

黒史郎『黒水村』『交錯都市』(一迅社J文庫) 初黒史郎体験。評判の高いデビュー作はまだ読んでいないのだが、何となく本屋で購入して読んだら表紙絵からは想像できないホラー小説だった。『黒水村』→『交錯都市』という時系列で連続しているため、登場人物…

グアルディア

仁木稔『グアルディア』(ハヤカワ文庫JA・上下) 映像化希望。バオー来訪者とか、バイオハザードとか色々と加わったゲーム映像が脳裏に。Jコレ版も持っていたのだけれども、ハンディになった文庫版で読了。壮大な愛憎の物語で、SFの準拠枠の中でラテンア…

グアルディア

仁木稔『グアルディア』(ハヤカワ文庫JA・上下) 映像化希望。バオー来訪者とか、バイオハザードとか色々と加わったゲーム映像が脳裏に。Jコレ版も持っていたのだけれども、ハンディになった文庫版で読了。壮大な愛憎の物語で、SFの準拠枠の中でラテンア…

夢幻惑星

川又千秋『夢幻惑星』(徳間ノベルズ) 夢の作家、川又千秋による侵略SF。川又千秋は現実と境界を描くのが実にうまい作家で、本作品は『宇宙船∞号の冒険』『惑星オネイロスの伝説』(新潮文庫)、『夢魔城』などなど、夢意識レベルで僕らが夢想する世界を…

夢幻惑星

川又千秋『夢幻惑星』(徳間ノベルズ) 夢の作家、川又千秋による侵略SF。川又千秋は現実と境界を描くのが実にうまい作家で、本作品は『宇宙船∞号の冒険』『惑星オネイロスの伝説』(新潮文庫)、『夢魔城』などなど、夢意識レベルで僕らが夢想する世界を…

姿なきテロリスト

リチャード・フラナガン『姿なきテロリスト』(白水社) 読み終えてため息が出る。渡辺佐智江の訳も素晴らしいのも合わせて、オーストラリアの闇をえぐりだしつつ、マスコミを中心とする権力の作り上げた虚構性というシナリオに翻弄される運の悪いオーストラ…

姿なきテロリスト

リチャード・フラナガン『姿なきテロリスト』(白水社) 読み終えてため息が出る。渡辺佐智江の訳も素晴らしいのも合わせて、オーストラリアの闇をえぐりだしつつ、マスコミを中心とする権力の作り上げた虚構性というシナリオに翻弄される運の悪いオーストラ…

オー・マスター・キャリバン!

フィリス・ゴットリーブ『オー・マスター・キャリバン!』(ハヤカワ文庫SF) カナダSF。シェークスピアの『あらし』にSF的テイスト(ウェルズ『モロー博士の島』、メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』、カレル・チャベック『R.U.R』あた…

オー・マスター・キャリバン!

フィリス・ゴットリーブ『オー・マスター・キャリバン!』(ハヤカワ文庫SF) カナダSF。シェークスピアの『あらし』にSF的テイスト(ウェルズ『モロー博士の島』、メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』、カレル・チャベック『R.U.R』あた…