2010-01-01から1年間の記事一覧

宇宙飛行士オモン・ラー

ヴィクトル・ペレーヴィン『宇宙飛行士オモン・ラー』(群像社) ペレーヴィンの翻訳新刊。同じ群像社から出ている『チャパーエフと空虚』とは違うテイストなれど、なんとも言えない風味の幻想小説。社会主義というコンテクストの中で繰り広げられる不条理劇…

宇宙飛行士オモン・ラー

ヴィクトル・ペレーヴィン『宇宙飛行士オモン・ラー』(群像社) ペレーヴィンの翻訳新刊。同じ群像社から出ている『チャパーエフと空虚』とは違うテイストなれど、なんとも言えない風味の幻想小説。社会主義というコンテクストの中で繰り広げられる不条理劇…

楽園 戦略拠点32098

長谷敏司『楽園 戦略拠点32098』(角川スニーカー文庫) 第六回スニーカー大賞受賞作品。<円環少女>、女性科学者を主人公にした『あなたのための物語』の長谷敏司のデビュー作品。ウェブの評判も高かったのでブックオフを中心に探していたのだけれども、あ…

楽園 戦略拠点32098

長谷敏司『楽園 戦略拠点32098』(角川スニーカー文庫) 第六回スニーカー大賞受賞作品。<円環少女>、女性科学者を主人公にした『あなたのための物語』の長谷敏司のデビュー作品。ウェブの評判も高かったのでブックオフを中心に探していたのだけれども、あ…

ナヴァロンの要塞

アレステア・マクリーン『ナヴァロンの要塞』(ハヤカワ文庫NV) トルコとの国境にある要衝エーゲ海の小島ナヴァロンにナチスドイツにより、建設された難攻不落の要塞ナヴァロンにある巨砲を破壊し、ケロス島に留まる連合軍の兵士1200名を救出するための、特…

ナヴァロンの要塞

アレステア・マクリーン『ナヴァロンの要塞』(ハヤカワ文庫NV) トルコとの国境にある要衝エーゲ海の小島ナヴァロンにナチスドイツにより、建設された難攻不落の要塞ナヴァロンにある巨砲を破壊し、ケロス島に留まる連合軍の兵士1200名を救出するための、特…

科学と神秘の間

菊池誠『科学と神秘の間』(筑摩書房) 科学が客観的なものを取り扱うという基本定義から、巷にはびこる代替医療や超能力など、ニセ科学に対して、何がおかしいのかを論理的に解説したエッセイ。僕自身このような現状にはあまりにも無知だったこともあり、最…

科学と神秘の間

菊池誠『科学と神秘の間』(筑摩書房) 科学が客観的なものを取り扱うという基本定義から、巷にはびこる代替医療や超能力など、ニセ科学に対して、何がおかしいのかを論理的に解説したエッセイ。僕自身このような現状にはあまりにも無知だったこともあり、最…

さよならペンギン

大西科学『さよならペンギン』(ハヤカワ文庫JA) #量子物理学が専門ではなく、わからない人間なので、そのあたりについての解釈はあくまでも「経済学の意思決定や数学的な面白さで読んでいる」ということをあらかじめ付記しておく。 タイトルに惹かれて…

さよならペンギン

大西科学『さよならペンギン』(ハヤカワ文庫JA) #量子物理学が専門ではなく、わからない人間なので、そのあたりについての解釈はあくまでも「経済学の意思決定や数学的な面白さで読んでいる」ということをあらかじめ付記しておく。 タイトルに惹かれて…

星の舞台からみてる

木本雅彦『星の舞台からみてる』(ハヤカワ文庫JA) 最近のハヤカワはジャンルを問わず優れた次世代の書き手に面白い小説を書かせる機会を増やしていて、大変良い。その著者の作品が面白かった場合、まったくノーマークだった作家と出会えるきっかけになっ…

星の舞台からみてる

木本雅彦『星の舞台からみてる』(ハヤカワ文庫JA) 最近のハヤカワはジャンルを問わず優れた次世代の書き手に面白い小説を書かせる機会を増やしていて、大変良い。その著者の作品が面白かった場合、まったくノーマークだった作家と出会えるきっかけになっ…

黄昏世界の絶対逃走

本岡冬成『黄昏世界の絶対逃走』(ガガガ文庫) ディストピア(<黄昏>という憂鬱に覆われ、人々が鬱で死ぬ世界)の中で、黄昏を除去する<黄昏の君>と呼ばれる役割を担う少女と、何でも屋の青年の織りなす逃亡劇を描く。最近読んだ中では『シュガーダーク…

黄昏世界の絶対逃走

本岡冬成『黄昏世界の絶対逃走』(ガガガ文庫) ディストピア(<黄昏>という憂鬱に覆われ、人々が鬱で死ぬ世界)の中で、黄昏を除去する<黄昏の君>と呼ばれる役割を担う少女と、何でも屋の青年の織りなす逃亡劇を描く。最近読んだ中では『シュガーダーク…

ハードワイヤード

ウォルター・ジョン・ウィリアムズ『ハードワイヤード』(ハヤカワ文庫SF・上下) 翻訳は21年前(1989年)の本。サイバーパンク全盛期のころに書かれたSF。当時読んでいたら、かなりの衝撃を受けていたのではないかと思う。そしてネットがなかった当時、…

ハードワイヤード

ウォルター・ジョン・ウィリアムズ『ハードワイヤード』(ハヤカワ文庫SF・上下) 翻訳は21年前(1989年)の本。サイバーパンク全盛期のころに書かれたSF。当時読んでいたら、かなりの衝撃を受けていたのではないかと思う。そしてネットがなかった当時、…

セカイ系とは何か

前島賢『セカイ系とは何か』(ソフトバンク新書)読了。 社会を取り巻くゲームのルールが変化してしまった今だから「セカイ系」なのかもしれない、と読み終えてふと思う。大変刺激になる新書でした。ここのところメカニズムデザイン関連の文献を読みあさって…

セカイ系とは何か

前島賢『セカイ系とは何か』(ソフトバンク新書)読了。 社会を取り巻くゲームのルールが変化してしまった今だから「セカイ系」なのかもしれない、と読み終えてふと思う。大変刺激になる新書でした。ここのところメカニズムデザイン関連の文献を読みあさって…

古本買いまくり漫遊記

北原尚彦『古本買いまくり漫遊記』(本の雑誌社)古今東西、古書好きさんたちは一定数存在する。淘汰・絶滅することなく、しぶとくそのDNAを残し、世代ごとに確実に「古本ものDNA」は継承されていく。ここ数年ほど、一箱古本市や各種イベントにより、…

古本買いまくり漫遊記

北原尚彦『古本買いまくり漫遊記』(本の雑誌社) 古今東西、古書好きさんたちは一定数存在する。淘汰・絶滅することなく、しぶとくそのDNAを残し、世代ごとに確実に「古本ものDNA」は継承されていく。ここ数年ほど、一箱古本市や各種イベントにより、…

フェアリイ・ランド

ポール・J・マコーリイ『フェアリイ・ランド』(ハヤカワ文庫SF) 文庫版は680ページの大作。本書はは三部構成になっていて、アリスを求めて悪夢のフェアリイ・ランドを駆け巡るあらしのような喧騒感漂う90年代を代表するSF作品。世界はナノテクと遺…

フェアリイ・ランド

ポール・J・マコーリイ『フェアリイ・ランド』(ハヤカワ文庫SF) 文庫版は680ページの大作。本書はは三部構成になっていて、アリスを求めて悪夢のフェアリイ・ランドを駆け巡るあらしのような喧騒感漂う90年代を代表するSF作品。世界はナノテクと遺…

ミレニアム・ヘッドライン

ジョン・ケッセル『ミレニアム・ヘッドライン』(ハヤカワ文庫SF) 翻訳者の増田まもるさんご本人からお勧めされていた本。現代アメリカに潜む病理をペシミスティックに描いたグロテスクなSF長編。翻訳された1993年当初に購入していたのだけれども、…

ミレニアム・ヘッドライン

ジョン・ケッセル『ミレニアム・ヘッドライン』(ハヤカワ文庫SF) 翻訳者の増田まもるさんご本人からお勧めされていた本。現代アメリカに潜む病理をペシミスティックに描いたグロテスクなSF長編。翻訳された1993年当初に購入していたのだけれども、…

アナベル・クレセントムーン

中井紀夫『アナベル・クレセントムーン』(電撃文庫) イラストはいのまたむつみさん。著者の中井紀夫さんは最近あまり活動されていないみたいですが(2001年のEXノベルズ以来見かけていない気がします)、どうされているのだろう。中井紀夫氏が電撃文庫か…

アナベル・クレセントムーン

中井紀夫『アナベル・クレセントムーン』(電撃文庫) イラストはいのまたむつみさん。著者の中井紀夫さんは最近あまり活動されていないみたいですが(2001年のEXノベルズ以来見かけていない気がします)、どうされているのだろう。中井紀夫氏が電撃文庫か…

わらの犬

ジョン・グレイ『わらの犬』(みすず書房) みすず書房の本書の紹介>http://www.msz.co.jp/book/detail/07490.html SF作家のJ・G・バラードが帯を書いているのに興味を持ったため読んだが、ものすごく面白かった。ある種のセントラルドグマを持つ人たち…

わらの犬

ジョン・グレイ『わらの犬』(みすず書房) みすず書房の本書の紹介>http://www.msz.co.jp/book/detail/07490.html SF作家のJ・G・バラードが帯を書いているのに興味を持ったため読んだが、ものすごく面白かった。ある種のセントラルドグマを持つ人たち…