ラギッド・ガール

飛浩隆『ラギッド・ガール』(ハヤカワ文庫JA) 多くの人が読んでいるので今更なのだが、あまりにもよかったので感じたところを素直に書いておくことにした。Jコレで購入していたのだが、文庫落ちしたものも購入して、文庫で読了。『グラン・ヴァカンス』(…

ラギッド・ガール

飛浩隆『ラギッド・ガール』(ハヤカワ文庫JA) 多くの人が読んでいるので今更なのだが、あまりにもよかったので感じたところを素直に書いておくことにした。Jコレで購入していたのだが、文庫落ちしたものも購入して、文庫で読了。『グラン・ヴァカンス』(…

「希望」という名の船にのって

森下一仁『「希望」という名の船にのって』(ゴブリン書房) もし自分に小学生ぐらいの子供がいたら、優しく読んであげたいジュヴナイルSF。シベリアの永久凍土の下に閉じ込められていた病原体が活動を開始し、動植物関係なくに感染。この病原体により、汚染…

「希望」という名の船にのって

森下一仁『「希望」という名の船にのって』(ゴブリン書房) もし自分に小学生ぐらいの子供がいたら、優しく読んであげたいジュヴナイルSF。シベリアの永久凍土の下に閉じ込められていた病原体が活動を開始し、動植物関係なくに感染。この病原体により、汚染…

荻原魚雷

荻原魚雷『古本暮らし』(晶文社) 荻原魚雷『活字と自活』(本の雑誌社) 読んだ人の心に何かさざ波を立てることのできるエッセイというのが世の中には存在する。本書はまさにそのタイプのエッセイで、文章はいたってやさしく、とてもやわらかい。文章のテ…

荻原魚雷

荻原魚雷『古本暮らし』(晶文社) 荻原魚雷『活字と自活』(本の雑誌社) 読んだ人の心に何かさざ波を立てることのできるエッセイというのが世の中には存在する。本書はまさにそのタイプのエッセイで、文章はいたってやさしく、とてもやわらかい。文章のテ…

星々の蝶

ベルナール・ヴェルベール『星々の蝶』(NHK出版) 『タナトノート』ほかで有名な著者のSF。メビウスの表紙絵に惹かれて購入した。前半部はややかったるい展開だったが、地球を脱出するあたりから大変面白くなる。というのは、管理人が社会科学畑の人のせい…

星々の蝶

ベルナール・ヴェルベール『星々の蝶』(NHK出版) 『タナトノート』ほかで有名な著者のSF。メビウスの表紙絵に惹かれて購入した。前半部はややかったるい展開だったが、地球を脱出するあたりから大変面白くなる。というのは、管理人が社会科学畑の人のせい…

神鯨

T・J・バス『神鯨』(ハヤカワ文庫SF) 以前より読もうと思っていて、そのまま放置して10年以上経過orzしたものの、本の整理により浮上し、先日無事に読了。テクノロジーの一部は陳腐化しているものの、基本的なアイディアはまったく古びておらず、ポール・J…

神鯨

T・J・バス『神鯨』(ハヤカワ文庫SF) 以前より読もうと思っていて、そのまま放置して10年以上経過orzしたものの、本の整理により浮上し、先日無事に読了。テクノロジーの一部は陳腐化しているものの、基本的なアイディアはまったく古びておらず、ポール・J…

ネット・バカ

ニコラス・G・カー『ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること』(青土社) インターネットや携帯機器を使い始めて、情報探索スキルを高めた反面、脳の集中力を失ってしまったのではないか、ということをメディア論や神経科学の視点から分…

ネット・バカ

ニコラス・G・カー『ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること』(青土社) インターネットや携帯機器を使い始めて、情報探索スキルを高めた反面、脳の集中力を失ってしまったのではないか、ということをメディア論や神経科学の視点から分…

ミネルヴァと智慧の樹

浅生楽『ミネルヴァと智慧の樹』(電撃文庫) タイトルに惹かれて購入し、そのまま一気読み。意図的に文章をタイトにして描いているので、そこに関しては賛否両論が出てきそう。内容面では歴史的な叙述が多いせいもあり、読んでいるとお勉強をしている気分(…

ミネルヴァと智慧の樹

浅生楽『ミネルヴァと智慧の樹』(電撃文庫) タイトルに惹かれて購入し、そのまま一気読み。意図的に文章をタイトにして描いているので、そこに関しては賛否両論が出てきそう。内容面では歴史的な叙述が多いせいもあり、読んでいるとお勉強をしている気分(…

ワン・ドリーム

中井拓志『ワン・ドリーム』(角川ホラー文庫) 以前の作品『アリス Alice in the right hemisphere』(角川ホラー文庫)の読後感に近い。デビュー作より氏の作品を読み続けてきたのだが、今回は自衛隊の兵器開発をネタにしたSFパニックホラー小説。いやー、…

ワン・ドリーム

中井拓志『ワン・ドリーム』(角川ホラー文庫) 以前の作品『アリス Alice in the right hemisphere』(角川ホラー文庫)の読後感に近い。デビュー作より氏の作品を読み続けてきたのだが、今回は自衛隊の兵器開発をネタにしたSFパニックホラー小説。いやー、…

ブラックベリー・ワイン

ジョアン・ハリス『ブラックベリー・ワイン』(角川文庫) 映画「ショコラ」の原作者のジョアン・ハリスのワインにまつわる心温まるファンタジー。本書の構成は映画「ショコラ」とパラレルなつくりになっていた。「ショコラ」でも舞台になったランスクネ・ス…

ブラックベリー・ワイン

ジョアン・ハリス『ブラックベリー・ワイン』(角川文庫) 映画「ショコラ」の原作者のジョアン・ハリスのワインにまつわる心温まるファンタジー。本書の構成は映画「ショコラ」とパラレルなつくりになっていた。「ショコラ」でも舞台になったランスクネ・ス…

宇宙飛行士オモン・ラー

ヴィクトル・ペレーヴィン『宇宙飛行士オモン・ラー』(群像社) ペレーヴィンの翻訳新刊。同じ群像社から出ている『チャパーエフと空虚』とは違うテイストなれど、なんとも言えない風味の幻想小説。社会主義というコンテクストの中で繰り広げられる不条理劇…

宇宙飛行士オモン・ラー

ヴィクトル・ペレーヴィン『宇宙飛行士オモン・ラー』(群像社) ペレーヴィンの翻訳新刊。同じ群像社から出ている『チャパーエフと空虚』とは違うテイストなれど、なんとも言えない風味の幻想小説。社会主義というコンテクストの中で繰り広げられる不条理劇…

楽園 戦略拠点32098

長谷敏司『楽園 戦略拠点32098』(角川スニーカー文庫) 第六回スニーカー大賞受賞作品。<円環少女>、女性科学者を主人公にした『あなたのための物語』の長谷敏司のデビュー作品。ウェブの評判も高かったのでブックオフを中心に探していたのだけれども、あ…

楽園 戦略拠点32098

長谷敏司『楽園 戦略拠点32098』(角川スニーカー文庫) 第六回スニーカー大賞受賞作品。<円環少女>、女性科学者を主人公にした『あなたのための物語』の長谷敏司のデビュー作品。ウェブの評判も高かったのでブックオフを中心に探していたのだけれども、あ…

ナヴァロンの要塞

アレステア・マクリーン『ナヴァロンの要塞』(ハヤカワ文庫NV) トルコとの国境にある要衝エーゲ海の小島ナヴァロンにナチスドイツにより、建設された難攻不落の要塞ナヴァロンにある巨砲を破壊し、ケロス島に留まる連合軍の兵士1200名を救出するための、特…

ナヴァロンの要塞

アレステア・マクリーン『ナヴァロンの要塞』(ハヤカワ文庫NV) トルコとの国境にある要衝エーゲ海の小島ナヴァロンにナチスドイツにより、建設された難攻不落の要塞ナヴァロンにある巨砲を破壊し、ケロス島に留まる連合軍の兵士1200名を救出するための、特…

科学と神秘の間

菊池誠『科学と神秘の間』(筑摩書房) 科学が客観的なものを取り扱うという基本定義から、巷にはびこる代替医療や超能力など、ニセ科学に対して、何がおかしいのかを論理的に解説したエッセイ。僕自身このような現状にはあまりにも無知だったこともあり、最…

科学と神秘の間

菊池誠『科学と神秘の間』(筑摩書房) 科学が客観的なものを取り扱うという基本定義から、巷にはびこる代替医療や超能力など、ニセ科学に対して、何がおかしいのかを論理的に解説したエッセイ。僕自身このような現状にはあまりにも無知だったこともあり、最…

さよならペンギン

大西科学『さよならペンギン』(ハヤカワ文庫JA) #量子物理学が専門ではなく、わからない人間なので、そのあたりについての解釈はあくまでも「経済学の意思決定や数学的な面白さで読んでいる」ということをあらかじめ付記しておく。 タイトルに惹かれて…

さよならペンギン

大西科学『さよならペンギン』(ハヤカワ文庫JA) #量子物理学が専門ではなく、わからない人間なので、そのあたりについての解釈はあくまでも「経済学の意思決定や数学的な面白さで読んでいる」ということをあらかじめ付記しておく。 タイトルに惹かれて…

星の舞台からみてる

木本雅彦『星の舞台からみてる』(ハヤカワ文庫JA) 最近のハヤカワはジャンルを問わず優れた次世代の書き手に面白い小説を書かせる機会を増やしていて、大変良い。その著者の作品が面白かった場合、まったくノーマークだった作家と出会えるきっかけになっ…

星の舞台からみてる

木本雅彦『星の舞台からみてる』(ハヤカワ文庫JA) 最近のハヤカワはジャンルを問わず優れた次世代の書き手に面白い小説を書かせる機会を増やしていて、大変良い。その著者の作品が面白かった場合、まったくノーマークだった作家と出会えるきっかけになっ…