黄昏世界の絶対逃走

本岡冬成『黄昏世界の絶対逃走』(ガガガ文庫) ディストピア(<黄昏>という憂鬱に覆われ、人々が鬱で死ぬ世界)の中で、黄昏を除去する<黄昏の君>と呼ばれる役割を担う少女と、何でも屋の青年の織りなす逃亡劇を描く。最近読んだ中では『シュガーダーク…

黄昏世界の絶対逃走

本岡冬成『黄昏世界の絶対逃走』(ガガガ文庫) ディストピア(<黄昏>という憂鬱に覆われ、人々が鬱で死ぬ世界)の中で、黄昏を除去する<黄昏の君>と呼ばれる役割を担う少女と、何でも屋の青年の織りなす逃亡劇を描く。最近読んだ中では『シュガーダーク…

ハードワイヤード

ウォルター・ジョン・ウィリアムズ『ハードワイヤード』(ハヤカワ文庫SF・上下) 翻訳は21年前(1989年)の本。サイバーパンク全盛期のころに書かれたSF。当時読んでいたら、かなりの衝撃を受けていたのではないかと思う。そしてネットがなかった当時、…

ハードワイヤード

ウォルター・ジョン・ウィリアムズ『ハードワイヤード』(ハヤカワ文庫SF・上下) 翻訳は21年前(1989年)の本。サイバーパンク全盛期のころに書かれたSF。当時読んでいたら、かなりの衝撃を受けていたのではないかと思う。そしてネットがなかった当時、…

セカイ系とは何か

前島賢『セカイ系とは何か』(ソフトバンク新書)読了。 社会を取り巻くゲームのルールが変化してしまった今だから「セカイ系」なのかもしれない、と読み終えてふと思う。大変刺激になる新書でした。ここのところメカニズムデザイン関連の文献を読みあさって…

セカイ系とは何か

前島賢『セカイ系とは何か』(ソフトバンク新書)読了。 社会を取り巻くゲームのルールが変化してしまった今だから「セカイ系」なのかもしれない、と読み終えてふと思う。大変刺激になる新書でした。ここのところメカニズムデザイン関連の文献を読みあさって…

古本買いまくり漫遊記

北原尚彦『古本買いまくり漫遊記』(本の雑誌社)古今東西、古書好きさんたちは一定数存在する。淘汰・絶滅することなく、しぶとくそのDNAを残し、世代ごとに確実に「古本ものDNA」は継承されていく。ここ数年ほど、一箱古本市や各種イベントにより、…

古本買いまくり漫遊記

北原尚彦『古本買いまくり漫遊記』(本の雑誌社) 古今東西、古書好きさんたちは一定数存在する。淘汰・絶滅することなく、しぶとくそのDNAを残し、世代ごとに確実に「古本ものDNA」は継承されていく。ここ数年ほど、一箱古本市や各種イベントにより、…

フェアリイ・ランド

ポール・J・マコーリイ『フェアリイ・ランド』(ハヤカワ文庫SF) 文庫版は680ページの大作。本書はは三部構成になっていて、アリスを求めて悪夢のフェアリイ・ランドを駆け巡るあらしのような喧騒感漂う90年代を代表するSF作品。世界はナノテクと遺…

フェアリイ・ランド

ポール・J・マコーリイ『フェアリイ・ランド』(ハヤカワ文庫SF) 文庫版は680ページの大作。本書はは三部構成になっていて、アリスを求めて悪夢のフェアリイ・ランドを駆け巡るあらしのような喧騒感漂う90年代を代表するSF作品。世界はナノテクと遺…

ミレニアム・ヘッドライン

ジョン・ケッセル『ミレニアム・ヘッドライン』(ハヤカワ文庫SF) 翻訳者の増田まもるさんご本人からお勧めされていた本。現代アメリカに潜む病理をペシミスティックに描いたグロテスクなSF長編。翻訳された1993年当初に購入していたのだけれども、…

ミレニアム・ヘッドライン

ジョン・ケッセル『ミレニアム・ヘッドライン』(ハヤカワ文庫SF) 翻訳者の増田まもるさんご本人からお勧めされていた本。現代アメリカに潜む病理をペシミスティックに描いたグロテスクなSF長編。翻訳された1993年当初に購入していたのだけれども、…

アナベル・クレセントムーン

中井紀夫『アナベル・クレセントムーン』(電撃文庫) イラストはいのまたむつみさん。著者の中井紀夫さんは最近あまり活動されていないみたいですが(2001年のEXノベルズ以来見かけていない気がします)、どうされているのだろう。中井紀夫氏が電撃文庫か…

アナベル・クレセントムーン

中井紀夫『アナベル・クレセントムーン』(電撃文庫) イラストはいのまたむつみさん。著者の中井紀夫さんは最近あまり活動されていないみたいですが(2001年のEXノベルズ以来見かけていない気がします)、どうされているのだろう。中井紀夫氏が電撃文庫か…

わらの犬

ジョン・グレイ『わらの犬』(みすず書房) みすず書房の本書の紹介>http://www.msz.co.jp/book/detail/07490.html SF作家のJ・G・バラードが帯を書いているのに興味を持ったため読んだが、ものすごく面白かった。ある種のセントラルドグマを持つ人たち…

わらの犬

ジョン・グレイ『わらの犬』(みすず書房) みすず書房の本書の紹介>http://www.msz.co.jp/book/detail/07490.html SF作家のJ・G・バラードが帯を書いているのに興味を持ったため読んだが、ものすごく面白かった。ある種のセントラルドグマを持つ人たち…

一箱古本市の歩き方

南陀楼綾繁『一箱古本市の歩き方』(光文社新書) 千駄木・谷中の一箱古本市に参加したことがある。その提唱者、開始メンバーの一人である南陀楼綾繁氏が一箱古本市というイベントを始めた経緯について語り、今後の展開について思うところを記した本。本が好…

一箱古本市の歩き方

南陀楼綾繁『一箱古本市の歩き方』(光文社新書) 千駄木・谷中の一箱古本市に参加したことがある。その提唱者、開始メンバーの一人である南陀楼綾繁氏が一箱古本市というイベントを始めた経緯について語り、今後の展開について思うところを記した本。本が好…

幻影の構成

眉村卓『幻影の構成』(ハルキ文庫) 『幻影の構成』にはハヤカワ文庫JA版、角川文庫版などいくつかのバージョンがあるが、最後に出たハルキ文庫版を読む。発表された当初の時代背景や問題認識とは異なり、現代のコンテクストで読み直せるSFである。本小説…

幻影の構成

眉村卓『幻影の構成』(ハルキ文庫) 『幻影の構成』にはハヤカワ文庫JA版、角川文庫版などいくつかのバージョンがあるが、最後に出たハルキ文庫版を読む。発表された当初の時代背景や問題認識とは異なり、現代のコンテクストで読み直せるSFである。本小説…

わがセクソイド

眉村卓『わがセクソイド』(角川文庫) 草食系男子と肉食系女子の出現を予言した社会派SF。現在のコンテクストで読みなおすと、「うだつの上がらない童貞草食系男子が、理想のアンドロイド彼女と駆け落ちする話」という展開のSFだった。社会変化による女…

わがセクソイド

眉村卓『わがセクソイド』(角川文庫) 草食系男子と肉食系女子の出現を予言した社会派SF。現在のコンテクストで読みなおすと、「うだつの上がらない童貞草食系男子が、理想のアンドロイド彼女と駆け落ちする話」という展開のSFだった。社会変化による女…

エラントリス

ブランドン・サンダースン『エラントリス 鎖された都の物語』(ハヤカワ文庫FT) 翻訳で上下1000ページにわたる長編なのだけど、久々に夢中になって読む。リーダビリティの高さと面白さ。ファンタジーの体裁をとりつつも、政治・経済・文化がしっかり…

エラントリス

ブランドン・サンダースン『エラントリス 鎖された都の物語』(ハヤカワ文庫FT) 翻訳で上下1000ページにわたる長編なのだけど、久々に夢中になって読む。リーダビリティの高さと面白さ。ファンタジーの体裁をとりつつも、政治・経済・文化がしっかり…

ライヴ・ガールズ

レイ・ガートン『ライヴ・ガールズ』(文春文庫) 先日本を整理していて、出てきた。帯つきをようやく入手し(なのでダブっている)、久々にホラーを読むかと思って読んだ。やっぱりスプラッターパンクは帯つきで集めておきたいところだ(多分ついていない本…

ライヴ・ガールズ

レイ・ガートン『ライヴ・ガールズ』(文春文庫) 先日本を整理していて、出てきた。帯つきをようやく入手し(なのでダブっている)、久々にホラーを読むかと思って読んだ。やっぱりスプラッターパンクは帯つきで集めておきたいところだ(多分ついていない本…

郵便屋

芹澤準『郵便屋』(角川ホラー文庫) いまさらながら、第一回日本ホラー小説大賞佳作を読む。携帯メールの時代になると、流石に本書は陳腐化をまぬがれない。ある程度この賞の作品はフォローしていたけど、佳作については放置していたことが多い。ともあれ、…

郵便屋

芹澤準『郵便屋』(角川ホラー文庫) いまさらながら、第一回日本ホラー小説大賞佳作を読む。携帯メールの時代になると、流石に本書は陳腐化をまぬがれない。ある程度この賞の作品はフォローしていたけど、佳作については放置していたことが多い。ともあれ、…

陋巷に在り 儒の巻

酒見賢一『陋巷に在り 儒の巻』(新潮文庫) 古代中国の孔子の弟子顔回を主人公とした小説。「古代中国において実はサイキックな呪術(儒)が、現実世界にも深くかかわっていた」という考察のもとに、孔子を取り巻く政治・社会を大胆な切り口で再構築すると…

陋巷に在り 儒の巻

酒見賢一『陋巷に在り 儒の巻』(新潮文庫) 古代中国の孔子の弟子顔回を主人公とした小説。「古代中国において実はサイキックな呪術(儒)が、現実世界にも深くかかわっていた」という考察のもとに、孔子を取り巻く政治・社会を大胆な切り口で再構築すると…